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国産材利用振興施策についての要望書

この『国産材利用振興施策についての要望書』は、国土交通省の鶴保副大臣に榎本会長等が提出し要請しました。
 

国土交通副大臣 鶴保庸介様


平成25年5月24日
平成26年2月20日
(一社)日本林業経営者協会 会長 榎本長治


国産材利用振興施策についての要望書


現在、日本林業は国産材需要並びに価格の低迷により、長年苦境に陥っております。国土の3分の2を占める森林を守り、地域を活性化させる意味からも、日本林業の再生に大きな役割を果たす国産材需要の拡大に国交省のご支援を賜りますようお願い致します。

 

1. 住宅における国産材利用について
業界団体の調査によると、国産材の利用割合(材積換算)は全体の1/3程度であった。部位別のデータを見ると「柱材」は後退しており、「横架材」では依然として外国産材が大半を占めている。『木材自給率を2020年までに50%』を達成するためにも、まだまだ国産材の利用率を高めていかなければならない。現在、国産材を使用していない企業や工務店に対し、国産材利用を推進して頂きたい。

特に、同じような製品価格でも無垢材の利用は、林業者の所得向上に大きく寄与するところから、国土保全、地域振興の観点からも、無垢材利用の推進をご指導いただきたい。
更に近年価格が大幅に低下している「ひのき材」の利用についてもご支援頂きたい。

 

2. 公共建築物の木造化及び土木分野における木材利用について
公共建築物の木造化の推進が図られているが、まだ10%に満たないのが現状である。一層の推進をお願いしたい。また、液状化現象の予防措置として、丸太杭を地中に打設する工法が開発され有効性が実証されている。国産材需要の拡大と林業振興につながり、さらにCO2を土中に固定する地球温暖化対策としても有効である。この工法の軟弱土壌への応用や公共事業への使用を含め、推進普及をご指導頂きたい。

(※ 参考資料参照)


3. 道路施設等への木材の利用推進について
実験的には、ガードレール、転落予防柵、高速道路の防音壁等への木材利用一部の県で行われているが、より積極的に木材利用の技術仕様、コスト低減などを研究普及し、木材で作るのが当然である状況を作っていただきたい。カナダ、欧州などは積極的に利用されている実態がある。

また、未だ利用されていない道路標識や高速道路の照明の支柱などに利用を拡大して頂きたい。

 

4. 中小工務店への対策について
国産材の需要の大半は年間50棟以下の中小零細工務店が担っている。その中でも、5棟以下の零細工務店の分解が進んでおり、国産材需要の低迷の原因となっている。これら中小工務店は地方での確実な雇用の受け皿にもなっており、林業振興は元より地域振興にも繋がることでもあり、都道府県と連携した活性化策の推進をお願いしたい。

 

5. 木材・木製品の輸出促進
日本の木材の優位性や木の文化を海外に伝え浸透させるため、相手国に対する木材利用に関するハード、ソフトの両面による戦略を構築することにより、木材・木材製品の輸出を積極的に進めて頂きたい。

 

6. 規制や基準の緩和について
現在、木造住宅の梁桁には外国産のマツ材が使用されることが多いが、それに代わりうる国産材が存在することを、強度測定に基づくスパン表作成によって具体的に示すなどについて検討して頂きたい。

また、2000年の建築基準法が性能規定になったことから、ビルの内装に木材も利用し易くなっているが、実態としてその利用は一部店舗のフローリング等に留まっており、外装への利用に至っては、極めて稀である。その中で東京都港区の積極的にビルへの木材利用を推進しているが、これらの動きを分析し、その利用の妨げとなっている規制や基準の緩和、利用を加速させる基準書の作成などの検討をお願いしたい。

さらに、CLT建築はすでに海外では実用化されており、8階建て、12階建てのビルも作られている。CLT(クロス ラミネィティド ティンバー)の日本の建築基準法への組み込みは木材需要の拡大に寄与し、高層建築も可能なことから、CLTの日本における積極的な推進をお願いしたい。

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